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健康診断で異常があった方へ

健康診断の結果の種類と意味

健康診断の結果の種類と意味健康診断の結果のほとんどは、検査項目ごとにアルファベットで示されます。
(例:A…異常なし/B…軽度異常/C…要経過観察または再検査/D…要精密検査/E…要治療)
判定区分の意味は検査機関や方法によりますので、結果報告書に載っていることもありますが、記載がない場合は検査機関に聞く必要があります。また、健康診断の種類によっても、検査項目や基準値も変わります。
健康診断は主に、一般健康診断と特殊健康診断の2種類に分かれています。一般健康診断は、雇入時や定期的に行われる健康診断であるのに対して、特殊健康診断は、特定の業務を行っている労働者が受ける健康診断です。
健康診断の内容をきちんと把握することで、ご自分の健康状態を振り返り、必要に応じて医療機関での精密検査や治療を受けていきましょう。

A:異常なし

検査結果が正常範囲内であることを示しているため、特に気にする必要はありません。

B:軽度異常

現時点で重大な疾患の可能性は低いものの、生活習慣の見直しや経過観察が必要とされる状態です。今すぐ治療が必要なわけではありませんが、放置すると将来的に健康リスクが高まることがあるため、医師の指導に従って適切に対応することが大切です。

C:要経過観察または再検査

正常範囲外の結果ですが、緊急性はありませんので、数ヶ月~1年後に再検査を受ける必要があります。生活習慣の改善に気を付けていけば、正常範囲内に戻したり悪化を防いだりすることができます。当院では、患者さんの状況に寄り添ったアドバイスや、継続しやすい改善方法について丁寧にお伝えしておりますので、お気軽にご相談ください。

D:要精密検査

さらに詳しい検査が必要ですが、精密検査の結果によっては、異常が見つからないこともあります。精密検査では、健康診断だけでは見つからない病気を詳しく調べることができます。「要精密検査」と指摘された場合は、放置せずに受診しましょう。

E:要治療

すでに治療すべき異常値が発見されている状態です。速やかに医療機関へ受診し、診断を受けて、適切な治療に関する相談を受けましょう。

健康診断の結果の見方

身体計測

項目 基準値 意味 疑われる異常
身長・体重 - - -
BMI 18.5~25 高すぎると肥満型
低すぎるとやせ型
肥満/痩せ
腹囲 男性:~85cm
女性:~90cm
数値が大きい:内臓脂肪が蓄積されている可能性 内臓脂肪型肥満
視力 -   視力低下
近視・乱視
眼圧 10~21mmHg 低い:網膜剥離、外傷など
高い:高眼圧症、緑内障
網膜剝離、緑内障など
聴力 -   聴力低下
難聴

循環器検査

項目 基準値 意味 疑われる異常
血圧 基準値 130/85mmHg未満 ・140/90mmHg以上:高血圧
・100/60mmHg未満:低血圧
高血圧症
低血圧症
動脈硬化など
安静時心電図 洞調律 心臓疾患の発見 不整脈
心筋梗塞
心肥大など

尿検査

項目 基準値 意味 疑われる異常
蛋白 (-) 陽性:腎臓・尿路の異常 腎機能障害
尿路感染症など
(-) 陽性:糖尿病疑い 糖尿病など

呼吸器検査

項目 基準値 意味 疑われる異常
胸部X線 異常なし 肺、心臓疾患の発見 肺がん、肺炎、結核、心肥大、大動脈の異常など

血液検査

血球算定
項目 基準値 意味 疑われる異常
白血球 4000~9000/μL 高い:感染症や炎症の疑い 感染症、骨髄の異常、血液の病気など
赤血球 男性 :400~579/μL
女性 :360~519/μL
高い:多血症、脱水
低い:貧血
多血症
貧血
腎臓病(腎性貧血)
骨髄の異常(再生不良性貧血)など
血色素
(ヘモグロビン)
男性:13.0~17.5 g/dL
女性:11.4~15.4 g/dL
※赤血球中のたんぱく質
高い:多血症、脱水
低い:貧血
ヘマトクリット 男性:38.0~51.9%
女性:34.0~45.9%
※血液中における赤血球の割合
高い:多血症、脱水
低い:貧血
肝機能
項目 基準値 意味 疑われる異常
AST(GOT) ~30 IU/L

※肝細胞で作られる酵素
高い:肝細胞のダメージ

・AST>ALT:
アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんなど
・AST<ALT:
慢性肝炎、非アルコール性脂肪肝など

急性肝炎
慢性肝炎
アルコール性肝炎
脂肪肝
肝臓がんなど
ALT(GPT) ~30 IU/L
γ-GTP ~50 IU/L ※胆道から分泌される酵素
高い:肝臓・胆道の異常
アルコール性肝障害
薬剤性肝障害
非アルコール性脂肪肝(NAFLD)
非アルコール性肝炎(NASH)
胆道系の病気など
脂質
項目 基準値 意味 疑われる異常
総コレステロール 140~219mg/dL   脂質異常症
中性脂肪 35~149(空腹時)mg/dL 高い:動脈硬化進行の恐れ
HDLコレステロール 40~99mg/dL ※いわゆる善玉コレステロール
低い:動脈硬化進行の恐れ
LDLコレステロール 70~139mg/dL ※いわゆる悪玉コレステロール
高い:動脈硬化進行の恐れ
血糖値
項目 基準値 意味 疑われる異常
空腹時血糖値 60~100mg/dL 高い:糖尿病 糖尿病
HbA1c 5.6%未満 6.5%以上:糖尿病 糖尿病
腎機能
項目 基準値 意味 疑われる異常
クレアチニン 男性:~1.00
女性:~0.70
高い:腎機能の低下 腎障害
e-GFR 60以上 低い:腎機能の低下 腎障害
尿酸値 ~7.0mg/dL 高い:結晶ができやすく痛風発作などのリスクが上がる 高尿酸血症 痛風など

消化器検査

項目 基準値 意味 疑われる異常
胃部X線検査 異常なし バリウム、発泡剤を服用して胃の形状や動きを観察 胃ポリープ
胃潰瘍
胃炎
胃がん
食道疾患など
便潜血反応検査 (-) 陽性:便に血が混ざっている 大腸がん
大腸ポリープ
大腸の炎症
痔など
血中ピロリ菌抗体検査

ピロリ菌抗体価<10U/ml

ピロリ菌感染の有無 ピロリ菌感染状態

健康診断で「異常」
「要精密検査」があったら

健康診断で「異常」「要精密検査」があったら健康診断や人間ドックは、生活習慣病やがんなどの病気の早期発見に加えて、将来の病気予防に繋がるきっかけとして役立ちます。
生活習慣病を放置すると動脈硬化が進行し、脳や心臓に大きな損傷を与えることがあります。そのため、健康診断では特に生活習慣病の有無に注意して診ています。
生活習慣病は早期に適切な治療を受けておくと、将来の健康リスクが抑えられ、QOLの維持にも繋がります。「まだ平気」と思っている時期に、専門医の意見をきちんと聞いておきましょう。

要精密検査はいつまでに受診すればいい?

健診結果で「要再検査」や「要精密検査」と判定された場合、早めの受診をお勧めします。早期発見・早期治療が重要です。
がんなどの重い病気の中には、発見が遅くなると治療が難しくなるリスクが高まるものもあります。早期に受診することで病変の拡大を防ぎ、予後にも良い影響を与えることができます。
また、生活習慣病の場合も、この期間内で早期発見できた場合は、病状があまり進行していない可能性もあります。その場合、生活習慣の改善など比較的簡単な対策での改善に期待できます。それ以上遅れると進行して合併症のリスクが上昇するため、早めに受診するのが望ましいです。