このような症状は
ありませんか?
以下のような症状がある方は、放置せずに肝臓専門外来へ受診しましょう。

- 身体がだるく、疲労感が続く
- 食欲不振が続いている
- 微熱が続いている
- 尿の色が濃い
- 皮膚や白目が黄色い
- 健康診断で肝臓の数値異常を指摘された
肝臓専門医による肝臓専門外来
当院では、日本肝臓学会認定の肝臓専門医である院長が診療を担当しています。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出た頃にはすでに病気が進行しているケースが多いため、早期発見が非常に重要です。症状が出る前に定期的な検査を受けることをお勧めします。
肝臓専門外来で対応する疾患
肝炎
肝炎とは肝臓に炎症が起きることで肝臓の細胞が破壊されている状態を示します。
肝炎の主な原因としては、①肝炎ウイルスの感染(ウイルス性肝炎)②多量の飲酒(アルコール性肝炎)③飲酒によらない脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎)④お薬や化学物質(薬剤性肝炎)⑤免疫異常により自己の細胞を攻撃(自己免疫性肝炎)などがあります。
主な症状は発熱、倦怠感、食欲不振、黄疸、腹水貯留などですが、症状がないケースもあります。
肝炎ウイルスにはA・B・C・D・E型の5種類がありますが、慢性化して肝硬変や肝がんの原因となるB型とC型が大半を占めます。EBウイルスやサイトメガロウイルスが原因となることもあります。
近年はワクチンや治療の進歩によりウイルス性肝炎は減少傾向にあり、非アルコール性脂肪肝炎が増加しています。
脂肪肝(脂肪性肝疾患)
脂肪肝は、過剰な糖質や脂質が中性脂肪へと変わり、肝臓に蓄積される状態です。肝臓全体の30%以上が脂肪で占められると脂肪肝と診断されます。原因の多くは、食べすぎ、飲みすぎ、運動不足、肥満ですが、極端な食事制限で無理なダイエットをした場合に起こる「低栄養性脂肪肝」もあり注意が必要です。近年は飲酒歴がないのに脂肪肝になる「非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)」が増加しています。
脂肪肝があっても症状はほとんどありませんが、放置すると肝機能の悪化や肝炎、肝硬変などの重篤な病気に進むリスクがあります。
多くの場合、脂肪肝はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を伴い、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まります。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH、新名称MASH)
飲酒があまり多くないのに、肝臓に脂肪が蓄積して脂肪肝になる病態を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)といいます。その多くは肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症を伴っています。
NAFLDの有病率は肥満やメタボリックシンドロームの患者さんの増加に伴い世界的に増えており、我が国の有病率は9~30%とされ、患者数は少なくとも1000万人以上と推計されます。
NAFLDのうち80~90%はほとんど進行せず脂肪肝のままで、非アルコール性脂肪肝(NAFL)といいます。しかし、残りの10~20%は徐々に進行して肝硬変や肝臓がんを発症することもあり、「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」といいます。
NAFLDのA:alcoholic(アルコール依存)やF:fatty(太った)という単語が差別的なイメージを持つ不適切な表現として名称変更がされ、NAFLDはMASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)、NASHはMASH(代謝異常関連脂肪肝炎)となりました。
自己免疫性肝炎(AIH)
自己免疫性肝炎は、本来自分の身を守るための免疫が自身の肝細胞を異物として認識し攻撃することにより肝機能障害が生じる慢性の炎症性肝疾患です。中年以降の女性に多くみられ、慢性甲状腺炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群など他の自己免疫疾患を合併することもあります。進行すると肝硬変や肝臓癌に進展することもあります。自覚症状のないことが多く、健康診断で肝機能障害(ASTやALTの上昇)を指摘されたのを契機に診断される症例が多くみられます。診断は採血検査(血清IgG高値、抗核抗体陽性、抗平滑筋抗体陽性など)や肝生検にて行われ、治療は副腎皮質ステロイド投与が第一選択です。近年は男性の患者さんも増加傾向にあります。
原発性胆汁性胆管炎(PBC)
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓の中の細い胆管(肝臓で作られた胆汁が通過する管)が慢性炎症によって破壊され、胆汁が流れにくくなり、肝臓内に胆汁が滞ることで発症する疾患です。原因は自己免疫性肝炎と同様に自己免疫的機序と考えられていますが、明らかではありません。症状のない「無症候性PBC」と黄疸、皮膚掻痒感(痒み)、食道静脈瘤、腹水などの症状を伴う「症候性PBC」に分類されます。健診等での肝機能異常(γGTP上昇、ALP上昇など)を契機に診断される「無症候性PBC」が多く見られます。
診断は採血検査(抗ミトコンドリア抗体陽性)や肝生検にて行われ、治療は肝臓病の治療薬をして広く使用されているウルソデオキシコール酸が第一選択となります。
中高年の女性に多い疾患ですが、自己免疫性肝炎と同様に近年は男性の患者さんも増加しています。
肝硬変
肝臓の慢性的な炎症が続くと、肝臓内に繊維組織(コラーゲン)が増え肝臓が固くごつごつした状態になり機能が低下する状態が肝硬変です。以前はC型肝炎やB型肝炎によるものが多かったですが、現在はアルコール性肝炎や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を背景とする肝硬変が増加しています。
肝硬変は進行すると様々な合併症を伴います。代表的なものとして、肝臓癌、黄疸、食道・胃静脈瘤、腹水、浮腫、肝性脳症(高アンモニア血症)、脾腫、腎機能障害(肝腎症候群)などがあります。
肝臓がん(肝細胞がん)
肝細胞がんの原因は、以前はウイルス性肝炎(B型肝炎・C型肝炎)が90%を占めていましたが、近年はアルコール性肝炎や非アルコール性脂肪肝炎が増加しています。
診断は採血(腫瘍マーカー:AFP、PIVKAⅡ)、腹部超音波検査、CT、MRIなどで行います。
治療は、肝切除術、局所療法(ラジオ波焼灼術など)、カテーテル治療(動脈塞栓術)、化学療法、放射線療法、肝移植などがあり、肝細胞がんの大きさ、数、進行度によって選択されます。
健康診断で肝機能障害を
指摘されたら
健診で肝機能障害といわれるのは、AST(GOT)、ALT(GPT)、γGTP、ALP、ビリルビンなどの値が上昇している時です。 AST、ALTの上昇は、肝障害によって肝臓の細胞が壊れていること(酵素が肝細胞から逸脱)、γGTP、ALP、ビリルビンの上昇は胆管の障害などによる胆汁流出障害を示唆します。
肝機能障害の原因としては、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、脂肪肝、自己免疫性肝障害、甲状腺機能障害、胆管閉塞などがあります。
当院では、詳細な採血検査や腹部超音波検査を用いて肝機能障害の原因を検索します。
CT検査が必要な場合には、近隣の総合病院に検査を依頼します。