お尻に「しこり」や「腫れ」がある方へ
「お尻に何か触れるものがある」「座るたびに違和感がある」
そんな不安を感じながらも、場所が場所だけに「恥ずかしい」「何科を受診すればよいのかわからない」と、一人で悩んでいる方は少なくありません。お尻のしこりの原因は、いぼ痔(痔核)だけとは限りません。肛門の周囲に膿がたまる肛門周囲膿瘍や、皮膚の下に袋状のかたまりができる粉瘤(ふんりゅう)や、脂肪のかたまりである脂肪腫(しぼうしゅ)など、さまざまな可能性があります。確認していただきたいのは、「痛みがあるかどうか」、そして「急に大きくなっていないか」という点です。
【お尻のしこりで考えられる主な原因】
お尻にできるしこりや腫れには、いくつかの原因が考えられます。主なものは次のとおりです。
1.いぼ痔(内痔核・外痔核)
内痔核は出血や排便時にしこりが外に出てくる、指で押すと戻る、といった症状がみられます。痛みはないことが多いです。
外痔核は血栓(血のかたまり)ができると急に腫れて強い痛みを伴うことがあります。外の痔のため指で押しても戻りません。
2.肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)
肛門の周囲が赤く腫れ、ズキズキと脈打つような強い痛みが出ます。悪化すると高熱がでたり膿が排出したりすることがあります。放置すると、痔瘻(じろう)という膿の通り道ができる病気へ進行することがあります。多くの場合、局所麻酔をして切開し膿を出すことが必要です。
3.粉瘤(ふんりゅう)
皮膚のすぐ下にできる、やや硬めのしこりです。中央に黒い点のような開口部が見えることがあります。悪化すると感染を起こし、赤く腫れて強い痛みが出ることがあります(感染性粉瘤)。お尻は座ることで圧迫されやすく、炎症を起こしやすい部位です。感染性粉瘤の場合は、局所麻酔をして切開し膿を出すことが必要です。
4.脂肪腫(しぼうしゅ)
皮膚の下にできる柔らかい脂肪のかたまりで、通常痛みはありません。良性の腫瘍のため基本的に経過観察でよいですが、急激に増大したり10㎝を超える大きな腫瘍は悪性化の可能性もあり注意が必要です。
【早めの受診をおすすめするサイン】
次のような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
- 座るのもつらいほど強い痛みがある
- 37.5度以上の発熱を伴っている
- 膿が出て下着が汚れる
- しこりが急に大きくなってきた
特に肛門周囲膿瘍は、放置すると痔瘻(じろう)へ進行することがあります。痛みや腫れを「そのうち治るだろう」と我慢せず、気になる症状があれば早めにご相談ください。
【受診をためらっている方へ】
診察の際は、プライバシーに十分配慮しています。診察台ではタオルで体を覆い、必要な部分のみを短時間で確認します。「この程度で受診していいのだろうか」と迷われる方もいらっしゃいますが、気にせずご相談ください。違和感が小さいうちにご相談いただければ、切らすに済む方法や、薬による治療で改善が期待できる場合もあります。早めのご相談が、結果として体への負担を抑えることにつながります。
【院長よりメッセージ】
お尻のしこりや腫れを「単なるいぼ痔だろう」と自己判断で放置することはおすすめできません。内痔核を放置すると、出血による貧血や、脱出の悪化につながることがあります。また、肛門周囲膿瘍や感染性粉瘤など、早めの処置が必要な疾患である場合もあります。当院では、状態を正確に診断したうえで、患者さんごとに適切は治療をご提案します。お気軽にご相談ください。
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肛門科・肛門外科
